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LIFE

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高校生の頃、毎週日曜日は近所の美容院でアルバイトをしていた。
家族経営の小さな美容院で、自宅の敷地に店舗があり、
美容院の隣に理容院が併設されていた。
奥さんが美容院、旦那さんが理容院の店主である。

仕事の内容は主にタオルの洗濯やカット後の店内の掃除、
巻き終わったパーマのロッドの洗浄・片づけ、
パーマやカラーリング中のお客様にお茶を出すこと……など、
当然のことながらお客様の髪に触れずにできる補助的な業務が中心だった。

しかし。
たまにものすごく忙しくてお客様を待たせてしまうようなときは、
お客様の白髪抜きや(白髪抜きをご所望される方がいらした)、
ロッドを巻き終わった状態の頭にまんべんなくパーマ液をつけることなど、
お客様の髪に触れなければできない業務も指示されるのだが、
いや~これは実に災難でしたよ、お客様にとって。

あるときは……

「きゃっ、痛いっ!!」(←お客様)
「はい?」(←真剣に白髪を抜いているわたし)
「もっ、申し訳ございません!!」(←店主)
見れば毛抜きの先には白髪以外に黒い毛も何本か混ざっており……
一緒に引き抜かれたらそりゃ痛いですわよねあああごめんなさーい。

またあるときは……

「きゃっ、冷たいっ!!」(←お客様)
「はい?」(←真剣にパーマ液をつけているわたし)
「もっ、申し訳ございません!!」(←店主)
見ればパーマ液を受け止めるために顔まわりに巻いてあるタオルがびしゃびしゃになり、
お客様の顔にまでパーマ液が流れていきそうになっているところであり……
これ自分も同じ目にあった経験があるけどほんと気持ち悪いんですよね
ほんとにほんとにごめんなさーい。

こういうこと、高校生であろうと未経験者であろうと、
お客様の様子をうかがいながら丁寧に細やかにこなせるひとは必ずいると思う。
しかしわたしにその仕事はあまりにも適していなかった。
災難にあわれた当時のお客様にはほんとうに申し訳ない。

ちなみにこのバイトは朝8時から夕方5時までで日給3000円(昼食付)。
毎週きちんと働けば1ヵ月で1万2000円になるので、
当時の田舎の高校生にとっては悪くなかった。
しかし雇用主にとってはこんな人材でよかったのだろうかー、そりゃーいいわけないだろー、
なわけで、今さらながらに申し訳なひ~

毎年この時期になるとそのアルバイトのことをよく思い出すのは、
店主夫婦の息子が7月下旬に行われる相馬野馬追いという祭りに出るために、
6月、7月上旬あたりはいつもほら貝を吹く練習をしていたからである。
祭りを迎える高揚と、祭りに参加するという誇り。
あのほら貝の音色には、そういう特別なものが確かに含まれていたと思う。

今年は。
戦国絵巻「相馬野馬追」絶やさぬ決意


ところで、高校卒業後の進路について悩んでいた夏休み、
このバイト先でお昼をいただいた後に、
おばあちゃん(店主のお母様)と台所で洗い物をしながら話をしたことがあった。
そのときおばあちゃんにこんなことを言われた。
「わたしにもやりたい仕事はあったけれど、わたしたちの若い頃は戦争で
自分の好きなことややりたいことなんて選べる状態じゃなかったのよね。
でも今はもうそんな時代じゃない。
やりたいことがあるならためらわずに向かっていきなさいよ、
今はそれができる世の中なんだもの」


この言葉もまた、夏がくる度に思い出す。
あれからさらに世の中が変われども。

コメントの投稿

secret

昔の美容室っていうかパーマ屋さんて、すごく懐かしくて
あのパーマ液の匂いを思い出すと胸がキューンってする(笑)

夏っていろんなことを思い出すよね。
それには自分が戦争を経験してなくても、やっぱり
「終戦」が大きく毎夏の思いに作用している気がする。
今年はより強く、日本が思いをめぐらせることになったね。

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yoyatoraさんyoyatoraさん

yoyatoraさん、こんにちは!

懐かしいですよねー、昔の美容室。
わたしの場合、今も街の中で昭和なかほりのする理容室とかを発見すると
キュンキュンしてしまうのはバイト時代の名残なのかしら(笑)

ミチロウさんが3.11は新しい戦争が始まった日だとお書きになっていましたが
http://www.pj-fukushima.jp/message_michirou.html
今年の夏はほんとうになんというか特別ですね。
思いはめぐらせなければ、と、うまくいえないけど、思います。

カギコメさんカギコメさん

カギコメさん、どうもありがとうございます。
カギコメさんのご家族もおつらい思いをされているのですね。
わたしも自分のことばかりつらつら書いていてごめんなさい。
でもこのことはこれからも個人的なこととして書いていくと思います。
このことについて話そうとするといまだにひどく感情的になってしまうのですが、
いつかほんとにゆっくり落ち着いてお話できる日がくるといいなと思います。
そのときはどうぞよろしくです。
こちらこそいつもありがとう。

カギコメさんもカギコメさんのご家族のみなさまも
少しでも安らかな気持ちでお過ごしになられるよう祈っております。