猫とワタシ

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背中合わせのNight&Day

この記事のみを表示する無力で傷つきやすいささやかな生き物

TOKYO

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久しぶりにとらちゃんに会った。
頭のてっぺんの毛が刈られてザビエル状態になっている。
ちょうど飼い主さんにも会えたので、
「とらちゃんの頭、どうしたんですか?」と尋ねたら、
「誰かに傘の先で突かれたらしいの。
怪我した日は病院が休みだったもので、傷が化膿して頭が腫れあがっちゃってね。
やっとこの頃よくなってきたところなの」、と。
「えっ、それはひどい」と思わず絶句すると、
「このこ、このとおり愛想がいいでしょう。
いつもどおりにひとに近づいていったらやられちゃったみたいなのね。
それから怖くなったみたいでね、あまり表には行かなくなっちゃった。
猫が嫌いなひともいるからね……」

嫌いだからって傘の先で頭を突いていいわけがない。
やった奴も同じ目にあえばいいと本気で願う。


多くのみなさんは猫というのは一日ひなたでごろごろして、ろくに仕事もしないで、
まったく気楽なもんだというふうに考えておられますが、
猫の人生はそれほど牧歌的なものではありません。
猫は無力で傷つきやすいささやかな生き物です。

『海辺のカフカ』(上)/村上春樹(新潮社)より


猫だけじゃなく。
“無力で傷つきやすいささやかな生き物”を
虐げる人間が許せない。