猫とワタシ

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背中合わせのNight&Day

この記事のみを表示する緑さんの話

LIFE

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↑母の作った糠入りパウンドケーキ(カッティングが雑なのはオレが切ったから)


私は食べることは大好きなのですが、
作ることにはあまりこだわりがありませぬ。
自分で適当にちゃちゃっと作ったものがやっぱ自分の口には合うもんだねい、と
自分の適当料理を日々自画自賛はしているのでありますが、
まじで適当すぎるので、むろん人様に披露できるものではありませぬ
(おもてなしさせていただくときは自分なりに気合いは入れますが!)

わたしのそんな適当さをよくご存じのある男性とかつてお酒を飲んだときに、
「村上春樹の小説の中にさ、自分の家の料理に不満があって、中学生のときにお小遣いを貯めて
調理器具をひとつひとつそろえて自分で料理の勉強をしたっていう女の子の話があったじゃない?」
と話を振られました。
なんだったっけその話、とそのときは酔っぱらっており、
とてもすっとぼけた会話になっていたように記憶していますが、
それは『ノルウェイの森』の緑さんのお話なのでしたな。

以下、長すぎる引用で失礼します。

「まぁ、話せば長くなるんだけどね」と彼女はだしまき玉子を食べながら言った。「うちのお母さんというのがなにしろ家事と名のつくものが大嫌いな人でね、料理なんてものは殆ど作らなかったの。それにほら、うちは商売やってるでしょ、だから忙しいと今日は店屋ものにしちゃおうとか、肉屋でできあいのコロッケを買ってそれで済ましちゃおうとか、そういうことがけっこう多かったのよ。私、そういうのが子供の頃から嫌だったの。嫌で嫌でしようがなかったの。三日分カレー作って毎日それを食べてるとかね。それである日、中学校三年生のときだけど、食事はちゃんとしたものを自分で作ってやると決心したわけ。そして新宿の紀伊国屋に行っていちばん立派そうな料理の本を買ってきて、そこに書いてあることを隅から隅まで全部マスターしたの。まな板の選び方、包丁の研ぎ方、魚のおろし方、かつおぶしの削り方、何もかもよ。そしてその本を書いた人が関西の人だったから私の料理は全部関西風になっちゃったわけ」
「じゃあこれ、全部本で勉強したの?」と僕はびっくりして訊いた。
「あとはお金を貯めてちゃんとした懐石料理を食べに行ったりしてね。それで味を覚えて。私ってけっこう勘はいいのよ。論理的思考って駄目だけど」
「誰にも教わらずにこれだけ作れるってたいしたもんだと思うよ、たしかに」
「なにしろ料理なんてものにまるで理解も関心もない一家でしょ。きちんとした包丁とか鍋とか買いたいって言ってもお金なんて出してくれないのよ。今ので十分だっていうの。冗談じゃないわよ。あんなペラペラの包丁で魚なんておろせるもんですか。でもそう言うとね、魚なんかおろさなくていいって言われるの。だから仕方ないわよ。せっせとおこづかいをためて出刃包丁とか鍋とかザルとか買ったの。ねえ信じられる?十五か十六の女の子が一生懸命爪に火をともすようにお金をためてザルやら砥石やら天ぷら鍋買ってるなんて。まわりの友だちはたっぷりおこづかいもらって素敵なドレスやら靴やら買ってるっていうのによ。可哀そうだと思うでしょ?」

『ノルウェイの森』(上)/村上春樹(講談社)P125~126から引用


この後、緑さんの話は、だし巻き玉子を作るための玉子焼き器が欲しくて、新しいブラジャーを買うためのお金を使ってそれを買った……とさらに続くのでした。


この話を振ってきた男性は「こういう女の子って素敵だよね、あなたは適当だけどさ」
と言いたかったのでありましょうが、ええ、もちろんわたしもそう思いますとも。
そしてそれからわたしも徐々に、わずかながらではあるものの経験を通してわかってきたことは、
いい調理器具を使うとほんと料理の味や出来栄えって変わるのよね、
たとえそもそもが適当な料理であったとしても効率とかも断然よくなるしね、
ということで、こと鍋関係に関してはその違いをとても実感するのであります。
なので中学校三年生の緑さんほどではないにしても、
そういうところにはもうちょっとお金をかけてもいいのかもと思いつつ、
しかしながらほかに欲しいものや取り急ぎ必要なものが優先されて
調理器具の購入は後回しになっているのが現状なのですが。
今使っているものでもとりあえず自分好みの味には出来ちゃうしねえ。
鍋とか気づけば20年以上すでに使っているものもあったりするしねえ。

そんなわけで日々作る料理をもっとまともなものにしたい!
というのが今年の目標のひとつでありまして、
調理器具についてもいろいろと思いを巡らせております。
って、もう2月なのに、今年の目標をまだ言っているわたし。
でも旧暦では今日が元旦ということで改めて新年の抱負なり、でした。
すんごいひとりごとブログでごめんちゃいなり~
改めまして今年もよろしくです!笑