猫とワタシ

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背中合わせのNight&Day

この記事のみを表示するこの秋の忘れられない味

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2005年11月某日・赤坂樓外樓飯店の上海蟹の姿蒸し

メスよりオスのほうが高価な上海蟹。
味も11月はオスのほうがおいしいらしい。
本年度最高の贅沢な晩餐を! とそれなりに気張って高級中華料理店へと
出かけた私と友達であったが、味と値段の間でしばし頭の中で葛藤。
最終的には予算的なことを優先して、オスより値段の安いメスに決定。
注文をとりにきたウェイター氏に「メスをお願いします」と一応きっぱりオーダーしてみる。
するとその注文を聞いたウェイター氏、神妙な顔つきでぽつりと一言。
「オスは召し上がらなくてもよろしいですか?」
よろしいですか? と改めて聞かれると、はて確かにそれでよろしいのか? とは
どんなに固い決意をしていても、ついつい考えてしまうものである。
そして心は揺らぎ始める…。

「あのぅー、オスとメスってどう違うんですか?」

「メスはですね、たまごを味わうものでありまして、
オスのほうはといいますと、味噌を味わうものなのであります」

たまごと味噌……、そりゃどっちもおいしそうだよ!

「あのぅー、オスってそんなにおいしいんですか?」

「ええ、それはもう。あの味噌はすごいですよ。とろ~りと濃厚で、
なんともいえないコクがありまして………」

若いウェイター氏は上海蟹のオスの素晴らしさをとうとうと語って下さったが、
私たちの耳にはその話はまともに耳に入らなくなっていった。
なぜならウェイター氏の表情があまりにもうっとりしていて、
「僕、オスがたまらなく好きなんですー」ということを言葉よりも雄弁に語っていたので…。
瞳はキラキラ、頬はバラ色に紅潮。いい顔してるよ、お兄さん! と心の中で喝采を送る。

「いやぁ~、それはおいしそうですねぇー。どうしよう」
「そこまで言われちゃったら、もう、ねぇ」
もはや頭の中はすっかりオスモード。でも決断を下すにはもうひと声ほしいところ。
何か頼んます、お兄さん!
するとお兄さんは迷っている私たちの心を見透かしたように、
ニコニコと微笑みながら魔法のひと言を。
「オスとメス、一匹ずつ召し上がられたらいかがですか?」

うわぁ、思いつかなかったっす、それは!
それならメスのたまごも食べられるし。
お兄さんが惚れ込んでいるオスも味わえるじゃないの。
つまり、思い残すことはもう何もないということざます。
「ああー、もう、それしかないです。それ以外にはあり得ません。
おっしゃる通り、オスとメス一匹ずつでお願いします」
とこんなに長ったらしくは言ってないけど改めて注文すると、
調理をする前の活きた上海蟹のオス&メスを持ってきて見せてくれた。
それが一番上の写真です。

ここで思い出さずにはいられないのが、数年前に初めて上海蟹を食べた時のこと。
注文して30分後ぐらいに、「お待たせしました~」と運ばれてきたのが、
この蒸す前の黒い上海蟹だったのである。それがちゃんと皿に盛りつけられてあった。
もちろんお店の人のミスだったのだが、あれは結構衝撃的な体験だった。
いくらなんでも生の蟹をそのままハイッと出されるとはねー。
そのインパクトが強すぎて、この時の上海蟹の味は覚えていない。
つまり今日が本当の意味での上海蟹デビューなのよぉ! と
友達にもくどいぐらいに話してきかせながら蟹を待つ。
そして、ついに登場~!



メス!



オレンジ色をしているのがたまご。
まるでピータンの黄身のように味が濃くて、甘みがあった。
いままで知っている魚介類の卵とは何かが違うのだけど、でもたまごだっていうことは
はっきりわかる味。やばいくらいにおいしかった。



そしてオス!!



黄色い部分が味噌。
いやぁ~…。これはもう…。
ウェイター氏がなぜあんなにも“たまらない”顔をしていたのかが
よくわかりましたー!!
海の蟹の味噌もあの磯くささが好きなのだけど、湖育ちの上海蟹の味噌には
生臭みというものが全然ない。
超一流のシェフが作ったフランス料理のソースみたいな味わいです。
すごいよ、上海蟹のオス! ただ蒸しただけなのにここまでの味を出せるとは!
あんた、本当にいいもの持ってるよ!!
調子にのってわけのわからない大絶賛を、オスに対して惜しみなく。

私はたまごと味噌を食べて満足してしまったわけでは決してなく、
ちゃんと身をほじって食べていたつもりなのだけど、
もう食べ終わったのかと思ってお皿を下げにきた蟹担当の
チャイニーズのお姉さん(上海蟹の食べ方を指導して下さる)は、
私の皿に残っている蟹を見てびっくりたまげた様子。
蟹の脚を1本1本見ながら、「あらー。まだまだたくさん身が残ってるんですよ~」。
そして「ほらー、こうしてこうしてこうすると、まだあるでしょ。たくさんあるでしょ」
と言いながら残っている蟹の身を全部ほじくり出してくれたのだった。
その間にお姉さんに何度「ほらー」と言わせてしまったことかしら。
申し訳なくなるほど真摯に丁寧にほじってくれた。
実際、お姉さんの作業が終了すると、蟹の甲羅の皿がてんこ盛りになるぐらいの
蟹の身の山ができあがったのだった。
おかげさまで二度楽しめました、お姉さん。ありがとうー!!

お兄さんとかお姉さんとかなれなれしく書かせてもらったけれど、
皆さん、とても親しみやすい接客&サービスで、
おいしいだけでなくとても楽しい晩餐だった。
赤坂樓外樓飯店の皆様、本当にありがとうございましたー!

この記事のみを表示するシンガポールの忘れられない味

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2004年・シンガポール 文東記のチキンライス

去年の秋、友達とバリ島旅行をするにあたり、
バリに行く前にシンガポールで2泊ほどストップオーバーすることにした。
シンガポールに友達と行くのは初めてだったので、こりゃこの2日間で食い倒れだわ! と、
出発前はインターネットやガイドブックで食に関する情報を探しまくった。
ひとり旅だとここまではやらないのよね~、というぐらいの勢いで。
そして目にとまったのがこの記事
なんて食欲をそそる文章なのでしょうか。
これはなんとしてでも文東記のチキンライスが食べたい!! と激しく思いながらいざ出発。

文東記行きは2日目のランチにしようという話になっていたので、
2日目の昼過ぎに、宿泊していたオーチャードロードのホテル前からタクシーに乗り込む。
「セラングーンロードの文東記までお願いしまーす」

「セラングーンロード…? 文東記…? ブントンキーって何よ?」と
戸惑い気味の、シンガポーリアンのおじさんドライバー。 

「ブントンキーとは、チキンライスのお店であります!!」

「チキンライス? キミたちチキンライスが食べたいの?」

「イエース!!! そうなのであります!!!!」

「チキンライスだったら、このオーチャードロードにあるマンダリンホテルの
チャーターボックスっていうレストランのが有名だよ。おいしいよ」

「いや有名というのはガイドブックで見て知ってるけど、でも、そのお店のチキンライスは
ちと高級じゃないっすか…」とブツブツ言う私たち。

しかし私たちの会話が聞き取れないミスター運ちゃんは
「あ、マンダリンホテルにする!? 決めた!? 行っちゃってOK!?」と一方的に決めつける。

「いやいや、最初に言った通り、ブントンキーまでお願いします」

「チキンライスだったら断然チャーターボックスよ。オススメよ。ナンバーワンよ。
それにすぐそこよ」

「いえいえ、私たちが行きたいのはあくまでも! リトルインディア近くの
ブントンキーなのであります!」

「マンダリンじゃなくてもさ、そんなセラングーンロードなんてところまで行かなくたって、
オーチャードロードにいくらでもチキンライスの店なんてあるんだぜ」

「いや~、あの~、ついでにオーチャードロード以外の街も見たいというのもあるんで」

「だからってチキンライスを食べるためにわざわざそんなところまで行くっていうのかい!?」

……日本だと近距離の移動にタクシーを使うのは運転手さんに申し訳ない気が
するくらいなのに、この運ちゃんはオーチャードロード内の移動はOKで、
リトルインディアのはずれまで行くのは「とても面倒でイヤなのよ~」と
言葉の節々ではもちろん、背中でもずっと語り続けているのであった。
実際、タクシーで20~30分ぐらいはかかったかもしれないが、
メーター制なんだし稼ぎにはなるんじゃないの? と大きなお世話ながら
ちょっと思ったんだけど……。

しかしにぎやかでけばけばしい装飾だらけのリトルインディアを過ぎて、
セラングーンロードまで行くと風景はシーンとしたものに変わってきて、
ここにひとりで取り残されたらどうしていいかわからないよ~、と思うほど、
まわりは知らない街の住宅街になってきた。
そしてそして、さらに大問題が。
肝心の文東記がどこにあるのかわからない~。
道端にタクシーを止めて、携帯電話で日本の104みたいなところに
電話をかけ、文東記の電話番号を聞くミスター運ちゃん。
それから文東記に電話をかけ、場所を確認してくれた。
まわりが工事中か何かで、非常にわかりにくいところにお店はあった。
最後にはミスター運ちゃんも、無事に客を送り届けたゼ! という達成感に満ちたような
清々しい笑顔を見せてくれたけど、でも内心では「こいつら、ほんと変わってる…」
とか思っているんだろうなぁ~という感じもありありと伝わってきた。
でも感謝してますよ~、ちゃんと連れていってくれて! ミスター運さま!

あまりにも前置きが長くなってしまったけれど、運ちゃんにブツクサ言われようとも、
ここにこられてよかったわ~と思える味でした、文東記のチキンライスは。
そしてビールのおいしかったこと。
忘れられるはずがありませーん。

この記事のみを表示するアメリカの忘れられない味

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2002年・NY ハーレムのソウルフードレストランにて

先月のオーランド(フロリダ)と、数年前に行ったロス、サンフランシスコ、
ニューヨーク、が私がアメリカ本土で行ったことのあるシティーのすべてです。
(ちなみにロスとサンフランシスコはメキシコ旅行の帰りに寄っただけで
各1泊しかしていないので、行ったうちに入れていいのかって感じですが…)
そのとても限られた狭いアメリカの中で自分が食べたものの記憶をたどる時、
「ああ、また食べたい!」と心底思うのがこのソウルフード。
とくにコーンブレッドが最高(写真中央のベイクドケーキのようなもの)!
コーンのかすかな粒々が残るかみごたえのある食感と、
かむ度に口の中に広がるほのかな甘み&香ばしさが忘れられませぬ。
その隣のポテトサラダもちょっと大ざっぱな味ではあったけど、
なんだかおいしかったなぁ。塩加減がコーンブレッドにベストマッチングで。
メインディッシュのフライドチキン&いんげん豆の煮込みも
いいお味だった記憶があります。
とくにチキンは皮がパリパリで肉はジューシー。言うことなし。
しかしこの写真を見ていたら、友達が食べているチキン・オン・ザ・食パンが
ものすごく気になってきた…。

ハーレムのソウルフードでは『シルビアズ』というレストランが観光客御用達の
一軒として有名なようですが、このお店はもっとこじんまりとしていて、
ローカルの常連客が多いという印象でした。
何かの本を見て行ったのだけど、お店の名前は忘れてしまった…。
初めてのNYで、しょっぱなに出かけた街がハーレムだったので、
さすがに歩いている時はちょっと緊張。わき目もふらずに早歩き。
だもので、このお店に着いた時はかなりほっ!!
お店の人たちはとくに愛想もサービスもよくないけれど、
こういう感じで毎日やってるのよ~という気取りのない日常感が
そこはかとなく漂っていて、逆に居心地がよかった。
そしてソウルフードはまさにソウルフルなフードというか、
飾り気はないけど中身は充実! という感じで、元気をもらえる味でした。

この記事のみを表示するしあわせランチ

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神楽坂・アルベラータ

仕事が一段落してちょっと開放的な気分の時や
手軽にほんの少しだけ非日常感を楽しみたい時などに、
昼からひとりでふらっとレストランに出かけてワインを飲むことがあります。
基本的には手頃なハウスワインで十分満足なのですが、
「今日は絶対においしいワインとおいしい料理を」と思い立ったら、
イタリア料理店の『アルベラータ』へ。
「グラスワインの白をお願いします」というオーダーしかしなくても、
ソムリエの方がボトルを席まで持ってきて、
ちゃんとワインの説明をして下さいます。
私はワインは飲むのは好きだけど、まったくもって知識や教養はゼロ。
でも生産者がどのような思いをもって作ったワインなのかとか、
これこれこういう過程を経てこういう味わいになっているとか
教えてもらうとやっぱり楽しい。
知らないことを知ることができて得した気分になります。
そして、さすがそこまで熟知した方が見立てたワインだけあるというか、
飲むと確実においしい。初めての味、というような発見に近い喜びがある。
このお店でワインをいただくと、いつもワインの奥深さにちょっとだけ
触れることができたような、その入り口に立てたような軽い昂揚感に包まれます。
もっと深く知ったら世界が広がるんだろうなぁという好奇心も少し湧いてきますが、
すぐにワインが回って気持ちよくなって終わりになるのがダメなところだす。
ちなみにこの白ワインは皮も種も一緒につぶして作られた、完全な無添加のワインだそう
(もっと詳しくいろいろ教えていただいたけど、ちゃんと書けるほど覚えてないス…)。
わりとしっかりした味だけど、喉越しはとてもいいワインでした。
そしてさらに個人的には、ランチのグラスワインでも大きなグラスで
出してくれるところが妙にうれしい。実際味わいが変わるのではないかと思うし、
気分的にも上がるというか、よりゆったりできる感じがします。



ランチのコースの前菜の盛り合わせ。
一品一品ていねいに作られていて、それぞれの味にもメリハリがあって、
とりわけワインには最高! です。



パスタは3種類用意されている中から、この日はメカジキと水菜のリングイネを。
にんにくが効いていて香ばしく、水菜のシャキシャキ感とメカジキのうまみと
トマトの酸味がとても合っていて、麺のコシも抜群。このお店のパスタは絶品だと思います。



1杯目のワインがなくなると、
「違うのもお持ちしましょうか?」と尋ねて下さったので「お願いします」と即答。
私がこのお店に行くのはたいていランチタイムですが、
よく飲む友達とディナーに行った時でも、ワインはボトルではなくグラスでオーダー。
なぜなら1杯ごとに違うワイン、しかもその時々の料理に合う味を楽しませてもらえるので。
ワインってこんなにいろんな味があるんだなぁとたとえ酔っ払っていてもわかるし、
これがまた実に気持ちよく酔えるのであります。



最後はデザート。甘さの加減も量もちょうどいい感じです。
落ち着いた雰囲気の店内で、つかず離れずの心地いいサービスを受けながら、
ゆっくりとおいしいワインを味わうランチは、ごくたまにだけのスペシャルタイム。
だからこそいい気分転換になります、本当に!

この記事のみを表示するバリ島の夕焼けの色

BALI―バリの空



バリ島・ドリームランド

明日のこととか何も心配しなくていい呑気さで、
友達とどうでもいいバカ話をして笑い転げて、
でもひとりの心には密かに夕陽の美しさが沁みていて、
これが永遠に続くことではないって頭のどこかではわかっている。
そんな子どもの頃の夏休みにちょっと戻ったような気になれる、
バリの夕暮れ時が本当に好きだ。

今週もお疲れさま~。

この記事のみを表示するアトランタ→成田

FLORIDA

1
0月23日 DL055便 機内食ランチ
前菜サラダ/葉野菜のミックス、トマト、クルトン、クリーミーなイタリアンドレッシング、そば
アントレ/鮭の照り焼き 白菜とにんじんの取り合わせ ブラックパールライス
デザート/ブラウニー


ミッドフライトスナック(フライトの半ばで)



サパー/ヒカマポテト、きゅうり、にんじん、赤ピーマンのスロー 味噌ドレッシング
      貝型パスタ、赤ピーマンペストソース、海老、リーク、パルメザンチーズ
      新鮮な季節の果物
(*以上、デルタ航空のメニューの原文まま)

友達や家族と一緒の旅行の時はもちろん別だけど、
ひとりで飛行機に乗って帰る時ほど食欲がなくなることはない。
ひとりで出かけた短い旅行であっても、旅先ではいろんな人と出会って、
何かと助けてもらったり、お世話になったりしながら日々過ごしているから。
機内で食事が運ばれてきて、それを口に運ぼうとする時になると、
不意に思い出してしまう。
ついさっき別れてきたばかりの国や土地の人たちのあたたかさを。
胸がつまって、きゅうーんとなって、何かを食べようとして下を向くと、
涙がポタポタ落ちてきそうになる。
だいたいいつも、どこに行っても、ひとりで帰る空の上ではそうなってしまう。

それでもひとり旅の人の隣には、ひとり旅の人がくるもので、
たいてい機内食タイムは、どちらからともなくトークタイムになるのだけど、
今回のお隣さんはWDW帰りの新婚さん。
でも奥さんにやさしくて、しかも食欲旺盛なだんなさん(機内食以外にも、
持参したお菓子などを終始モリモリ)の隣にいると、
話はしなくてもだんだんと気が晴れてくる感じがした。

行きのアトランタからオーランドへの機内では
コーヒーを頼んだのにコーラが出てきてしまったが、
帰りはちゃんとアメリカ人の客室乗務員にも「コーヒー」で一度で通じて、
すんなりコーヒーをもらえた。
そもそも英語は苦手なのだけど、あまりにも自分の「コーヒー」という発音が
突出して通じないので、旅行中は現地の人々がどういう発音をしているのか
神経を集中させて聞くようにしていた。その成果が現れた~!
7泊9日の旅行で唯一進歩したといえるところであるが、ちとレベルが低すぎネ…。

楽しい旅行だったけど、澱のように心の奥底に残ってしまったのが、
アメリカの入国審査や出国の際のセキュリティーチェックのこと。
思っていたよりは簡単に終わってくれたし、
空港職員の人たちもチェックが終われば笑顔で「サンキュー」とか言って
気を遣ってくれている感じはしたけど(あれで笑顔もなかったらつらい)、
指紋認証とか顔写真撮影とか、靴を脱いで裸足になるとか、
やっぱり個人的にはいやなことだったなぁと思う。
それがひいては自分の身の安全につながることだと理解していても、
かすかな不快感はつきまとう…。
私にとってアメリカに行くということは、2001年9月11日以前の世界には
もう決して戻れないということを知ることでもあった。
この先、奇跡的に世の中が素晴らしく平和になったとしても、
その前には戻れないんだよね、もう絶対に。

日本に着いて、昼下がりの成田は気持ちよく晴れていてほっとして、
しかしながらまず「ああ日本に帰ってきたんだな!」と実感したのが
どんな瞬間だったかというと、すれちがいざまにぶつかったおじさんが、
何も言わずに去っていった時だった。
アメリカではちょっと肩がふれただけでも必ず「エクスキューズミー」だし、
公共機関などではほとんどの大人の男性は、女性やお年寄りやベビーに
先を譲ってくれる。女性同士でもそうだった。
旅行中はそのことをとくに何とも思っていなかったけど、
思い返せばそのおかげで快適に過ごせた部分は多かったと思う。
そしてもはや帰国して1ヵ月もたてば、ぶつかってもあやまらない、
人が前からきてもよけない、乗り物には人を押しのけても先に乗るという
東京の日常にいちいち疑問も感じなくなってきて…。
アメリカがいいとか、日本が悪いとかっていう話ではないのだけど
エクスキューズミーとTo Go(日本でいうテイクアウト。ビバ持ち帰りだから)は
もっと普及してもいいんじゃないかな~とちょっと思う。
日本人は横文字好きなんだし(?)。

これからも断片的に、今回の旅行のことをちょくちょく書いていくと思うけれど、
とりあえず旅日記はこれにて終了~。

この記事のみを表示する主観で選ぶアメリカ的インパクト大賞

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風景部門大賞。
オーランドにある『セレブレーション』という、
ディズニー経営の新興コミュニティーの中の小さな広場にて。
でも広場というよりも、間違っちゃったかぼちゃ畑、に見えた。
いくらハロウィンだからといえども、巨大なかぼちゃがここまでゴロゴロあると
なんだかおかしくて笑いがこぼれてくるのであった。
うしろで仮装しているプーさんも笑っとる…。



大味部門大賞。
サンダースさんちのフライドチキンのコンボなのだが、
つけあわせに選んだマッシュポテトにびっくり。
なぜただのマッシュポテトがこんな味になるの!?
だしのまったくきいていないコンソメスープあるいはコンソメを抜いたけどコンソメ風味は
微妙に残っているコンソメスープ、で味つけしたようなマッシュポテトに、
いったいどういう味にしたかったのか方向性がまったくつかめない
グレーヴィーソース(とおぼしきもの)がたっぷりと。
これなら普通にポテトをつぶしただけのものをプリーズだよ~。
いや、コールスローサラダもあったのに、マッシュポテトを選んだのは
そもそも自分なんですけどね。しかもオーダーミスでふたつもさっ。
しかしそんなポテト好きの人間だけに、この味にはまじで驚き。
(ちなみにフライドチキンやビスケットは日本とまったく同じ味)



つけあわせ部門大賞。
クリアウォーターのファミリーレストランのようなお店にて。
つけあわせに生のセロリを用いるのはアメリカではよくあるのかな。
セロリは好きだし、この油たっぷりのチキンのお供として合わないわけでは
ないけど(さっぱりとお口直し、という感じで)、
こんもり盛られたチキンとお皿の上ににじむ肉汁というか油。
すでに十分オイリーなのにマヨネーズのディップ。
そしてそれに寄り添う青々としたセロリ…。
見た瞬間に「ごちそうさまでした!!」と言いたくなるような、
おなかいっぱいのザ・インパクト。
でもやっと自分の思うアメリカ的なものに出会えたような変なうれしさも
同時にあったりなんかした一皿だったけれど。



スイーツ部門大賞。
上と同じ店にて。
いかにもアメリカンタイプのチーズケーキではあるのだが、
こうも何の飾り気もなくただごろんと出されるとねー。
スイーツを前にしても心が弾まない、むしろ萎えるというめったにない経験を味わえた。
それにしても食べる度に口の中で「ジョリッ」っとするのはなぜなのか。
どうもグラニュー糖っぽい食感なんだけど、いったいどういう作り方をしているのか。
謎は多いけど、まずくはないのよ、決して。でも少しさみしー。
「よ~く考えよう~、見た目が大事だよ~」という即興で浮かんだ替え歌が
頭の中をぐるぐる回って仕方がない。
そんなデザートタイムなのであった…。

この記事のみを表示するボーディングパス事件とグーフィーマジック

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10月22日 WDW内ダウンタウン・ディズニー&スワンホテル

広くて広いWDW内はボート、バス、モノレールなどさまざまな
交通機関で移動が可能。
WDWの入場者であればもちろんフリーパスで乗車できるので、
私たちもダウンタウン・ディズニーからスワンホテルまでバスで移動。
チケットを見せる必要もなく、ただバス乗り場から乗りこめばOK……。
それなのに。
帰りにスワンホテルからダウンタウンに戻るべくバスに乗車すると、
運転手さんが「ボーディングパス!」と手を差し出すではないですか。
え、ボーディングパスって何? そんなのあったっけ?
「エプコットのチケットを見せればいいの?」と言いながらバッグの中や
ポケットの中をあわてて探す私とジョニーさん。
運転手さんが、あせっている私たちをずっと冷ややかな目で見ているので、
ますますあせるばかりなり。
ようやくチケットを取り出したジョニーさん。
「はい、これ」と運転手さんに見せました。
しかし運転手さんはそれには一瞥もせず、相変わらず無表情なままで
「100dollars enough」とキッパリ。
は? 100ドルで十分とは?
そう思った瞬間に、それまでシーンと私たちを見ていたバスの乗客が全員、大爆笑。
バスが揺れそうなほどにみんなで大笑いさぁ。
うわー…だまされた…やられたぁ…恥ずかしい…。
まさに穴があったら入りたいとはこのことだ、というくらいの恥ずかしさ。
ドッキリカメラを仕掛けられた人の気持ちが少しわかった気がするぅ…。
この運転手さんはかなり冗談好きの方だったようで、運転をしている最中も
ずっと何やらジョークを言い続けて乗客を笑わせておりました。
英語なので私にはおもしろさがいまいちわからなかったけど。
そのジョークに終始大うけしていた笑い上戸のご婦人には、
しばらくたってからも「まったくあなたたちってば、だまされちゃって!」
という感じで思い出し笑いをされて、ひー、恥ずかしいーという感じでした、本当に。



今回、唯一会えたミッキーは花壇の中にいた。
という具合で実物のディズニーキャラクターにはまったく会えなくて残念…と
思っていたら、スワンホテルの廊下でグーフィーに遭遇!
正確にはグーフィーの着ぐるみを着た人ですが、とにかくグーフィー。
トイレ近くのひっそりした廊下には私とグーフィーしかいなくて、
目が合った瞬間、お互いにぎょっとしたのがわかりました。
私はこんなところにグーフィーがいるとは思わないし、
グーフィーもここで観光客に会うとは予想だにせず、ちょっと油断していた模様。
でもグーフィーはやっぱりグーフィー。
「えっ」と一瞬固まった私に向かって、両手でかわいく手を振ってくれたのです。
私も手を振り返す。グーフィーもニコニコと手を振ってくれる。
着ぐるみなのに表情ってわかるのよ~。
その後、グーフィーはスタッフみたいな人に呼ばれて、人間っぽくどこかへ
消えていかれましたが、あの手を振り合った時のうれしさは忘れられません。
温泉につかってポカポカ温まって満たされた時のような
とても幸せな感覚に包まれたのでした。
ただ手を振ってもらっただけなのに、不思議。
アトラクションにはまったく乗らず、ミッキーにもドナルドにも会えなかった
ディズニー・ワールドだったけど、やっぱりディズニー・マジックはありました!
グーフィー、ありがとう!



スワンホテルのロビーの噴水。
<WDW日記はこれでおしまい>

この記事のみを表示するフランス館で乾杯&雨宿り

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10月22日 WDW内「エプコット」ワールドショーケース フランス館

「フード&ワインフェスティバルはフランス館のブースがおすすめ。
とくにチョコレートクレームブリュレがおいしい♪」とエプコット勤務の
日本人女性に教えてもらっていたので、これは行かなきゃとフランス館へ。




ワインは赤2種類、白2種類が用意されており、いずれも3ドルだったかな。
おつまみにエスカルゴ、デザートにはもちろんチョコレートクレームブリュレを購入し、
近くのベンチの席を確保して乾杯。昼間から屋外でベンチに腰かけてワインを飲むのって
心から幸せを感じるひとときですわ。そしてエスカルゴもチョコレートクレームブリュレも
感動的なほどに美味。曇天なのにストロボをたかなかったので暗い写真になってしまいましたが、
この紙皿の上にあるものの中身はもはや芸術的といってもさしつかえないほどの輝きに
満ちていました(我ながら大げさです)。
それまでもこの旅行では地元に詳しいジョニーさんのおかげで、
普通においしい食生活を送ることができていたのですが、
でもこの2品を口にした瞬間に「繊細」とか「上品」という言葉が
はっきりとよみがえってくるのがわかりました。
というか正直なところ忘れていましたわ、そういう言葉を料理にも使うということを。
アメリカにきてからの数日間で、すっかりと。




フランス館のパティスリーも興味があったので中をのぞいてみると
ショーケースには魅力的なスイーツがずらり。
それらを買い求めるお客さんで中には長い列ができていました。
甘い物は完全に別腹だし、この誘惑にはとても勝てず、私たちも列に加わることに。



ミルフィーユや生シュークリームなど心ひかれるスイーツはたくさんあったのだけど、日本ではまずめったに選ばないレモンタルトをチョイス。これがまたびっくりするほどおいしかったのです!! 写真は輝きすぎちゃいましたが、実際きらめきの味でした。ひと口味わうたびに「繊細」「上品」「洗練」「優雅」という言葉が次々に浮かんでくる。直球な甘さじゃなく、ものすごく微妙な変化に富んでいて、奥行きが深い味。本当に芸術的だと思います。素晴らしい食文化を感じます。たったこれだけのことだけど、すごいよフランス!! と大絶賛です。
きっとフランスに行ったら私ははまるだろうな、すごく好きになるだろうなと確信した次第でした。
かなり単純な思考回路だけど。

考えてみると私が今住んでいる町はフランス人もフランス料理店も多く、
一部ではリトルフランスなどともいわれているほどで、
さらにうちの近所にはモロッコ人シェフのいるモロッコ料理店があったりもするし、
食に関しては東京そのものがワールドショーケースのようなものだとは思います…・。
しかしこのような作り物のスモールワールドの中でも、
ただその国の料理をいただくのとは違う何かはやはり感じるわけで。
もっといろんな国に行きたい、もっともっと旅がしたいと強く思いました。
(あーでも今一番行きたいところはパリじゃなくてバリというこの矛盾)。

ところでこのパティスリーにいる間に、外はものすごいどしゃぶり&雷に。
食べ終わっても降りやまず、フランス館のショップでしばらく雨宿りをしたけれども
雨足は激しくなるばかり。ミッキーの雨合羽を着て歩いている人はたくさんいるのだけど、
雨宿りをしていたショップでは売ってなくて、身動きがとれず。
試しに隣のゲランに行ってみるとミッキーの折り畳み傘が1本10ドルで売っていたので、
いかにもパリジェンヌな雰囲気の麗しいマダムから購入。ゲランなのに、傘1本。
しかし雨の中ではさっきのようにベンチに座ってフード&ワインということももうできず。
とりあえずイタリア館に行ってスプマンテを立ち飲みし、
ドイツ館のビール&ソーセージに心を奪われながらもショップだけひやかして、
ワールドショーケースはもう後にすることに。全館まわれてなくて消化不良だけど。
この時点ですっかり夕方で、翌朝7時に飛行機に乗って帰らねばならない私は
ダウンタウン・ディズニーに行ってお土産を買わなきゃ、と急にあせってきたのでした。
それではダウンタウンに行った後に、ジョニーさんの友達のいるスワンホテルで
軽くご飯を食べて、夜9時までにまたワールドショーケースに戻って
イルミネーションズというフィナーレのショー&花火を見ようとジョニーさんは
計画を立ててくれましたが、結果的にはそれもままならなかったです。
なぜ時間が経つのはあんなに早いのでしょう…。
つづく。

この記事のみを表示するイッツ・ア・スモール・ワールド

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10月22日 WDW内エプコット「ワールドショーケース」のモロッコ館

ワールドショーケースの中で、日本館と隣り合っているモロッコ館。
突然ですが、b_nomadさん、このモロッコはいかがでしょう?
…とこんなところから呼びかけられても困りますよね(笑)。失礼しました。
でもnomadさんのブログに出会ったおかげで、モロッコに対する親しみのような感情が
自分の中に生まれたのは確かで、その気持ちをこのモロッコ館ではより強く感じたのでした。
そして今日はfujiwaraさんから、モロッコ館はモロッコの国王が設計したものと
教えていただき、さっそくここでも書かせてもらいます。感謝です。
しかし、せっかく精細なモザイクが美しいエントランスなのに、
寄りの写真を撮っていないところが抜けている私…。
写真はいまいちですが、細部まで凝っていて見応えのあるパビリオンでした。



これはエントランスの外側にあるお土産物屋さん。



エントランスの中にあるお土産物屋さん。写真はないけれど、このお店の店員のモロッコ人女性の美しさに思わずドギマギしてしまいました。どこかひかえめでたおやかな印象だけど、瞳の力が強くてきれい。




そして庭にはハイビスカス。
なんというか、「出会えた感」がありました。
それにしても残念なのはモロッコ料理のレストランに行かれなかったことです。日本館で鉄板焼きをたらふく食べた直後だったので…。ワールドショーケースの各パビリオンはだいたいレストラン&ショップで構成されていて、ところによってはさらにミュージアムやアトラクションもあるようですが、個人的にいちばん心を奪われたのは当然のごとくレストランでした。でもおなかはいっぱい。フード&ワインフェスティバルのために胃袋に余裕ももたせておかなければならないし…とここでも私は相変わらず煩悩の権化。もしも神様が5つ願いを叶えてくれるとしたら、その5つのうちのひとつとして、ワールドショーケースに最低でも1週間滞在&全館のレストランを制覇させてもらうことをお願いします、というほどの気分でした。あの場では。




パビリオンの国の数は11カ国ですが、路上でブースを出しているだけの国も含めるとより世界が広がる感じ。奥に見えるのはトルコの出店。こうした出店で販売されているデリやスイーツもそそられるものばかりでした(フード&ワインフェスティバルのための出店だったのかな…よくわからない)。



モロッコ館とフランス館の間では民族音楽のミニライブも。
最近、ワールドショーケースの話を知り合いの子にしたら「愛・地球博みたいな感じなんですか?」と聞かれて、私は愛・地球博には行っていないのでわからなかったのですが、こういう感じだったのでしょうかね。個人的には東京ディズニーランドでもっとも好きなイッツ・ア・スモール・ワールドの中に紛れ込んだような気分をちょっと味わえました。せーかいーはひーとーつー♪と口ずさみたくなるような。
しかしこのような楽しい場所で小難しいことを気難しく考えていたわけでは決してないけれど、
ここにある世界が平和な分だけ、現実の平和じゃない世界のことも同時に肌で感じてしまう
部分もありました。
次はフランス館へとつづく。