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背中合わせのNight&Day

この記事のみを表示するあの日見た虹

HARRY

2002年5月26日 Japan Blues Carnival2002 at日比谷野外音楽堂

スライダーズが解散してから、
初めて独自のバンドスタイルでの
HARRYを観たのがこの時だった。
バンドで登場するとは思っていなかったので、
ドラムのZUZUの姿がステージ上に見えた時には
柄にもなく「キャー」と叫びそうなくらいびっくりした。

アコースティックギター1本で歌うHARRYは
それまで各地のライブハウスですでに観ていた。
千葉に、長野に、岡谷にも行った。
観れば観るほど、もっとどこまでも追いかけて
何もかも見届けたいという執着心が強くなっていった。
それほどまでにライブが素晴らしいから、というわけではなくて、
どうしても心の中に満たされないものを感じていたから。
スライダーズという旅の続きを
あてどもなくさまよっているような空虚な気分に支配され、
目の前で歌うHARRYと対峙できずにいた。

でもこの日、バンドで歌うHARRYは
ぞくぞくするほどかっこよくて、
私のネガティブな邪念など入る隙はまったくない。
たった4曲のステージだったが、
「ロックンロールをやり続けること」への
強烈な意志がものすごくまっすぐに伝わってきた。
体の中の細胞すべてがその喜びで
パンパンにふくれあがるぐらいに
満たされていく。

空はどんより曇っていて、ライブの途中でパラパラと雨が降り出してきたが、
HARRYたちがステージを去ると雨は一瞬上がり、
雲間から光が射してきた。
そして虹。くっきりと鮮やかな虹が二重になって、
野音の空にかかった。
まるで野音に七色のリボンをかけて祝福しているみたいに。

2000年10月のスライダーズのLAST LIVEで、
アンコールが終わりステージ上からメンバーが去った後、
観客だけが取り残された武道館の中に流れた
『虹を見たかい』という曲が胸をよぎる。
それが事実上の最後の最後の曲、となった。

その曲の虹のイメージとともに、
スライダーズが解散してしまったという
喪失感がずっとどこかにあった。
でもこの日こうして見上げた空に現実の虹はかかり、
過去と未来をつなぐかのような輝きを見せてくれた。
新しい旅は、もう始まっている。
やり続けていくこと。
その思いの強さの上にだけ、きっと、これからも虹はかかる。